我儘窯について
我儘窯の誕生というのは、ある日突然近江兄弟社小学校の教諭から電話をもらったことから始まった。
「北の庄キャンパスというところに兄弟社村というのがあって、そこにちょうどいい坂があるから、そこに穴窯作らないか?」
この先生は正気かいなー?穴窯を作ってそれを焚くというのは、どんなに大変なことなのか知っているのか?これが僕の第一印象だった。
けれども、あーだこーだ話しているうちに、小学校は真剣に穴窯を作る気だということが分かって、やがて僕も真剣に作ることにした。そして2003年の夏、僕が頭領となって、兄弟社の卒業生数人も含む窯作りスタッフを集めて、みんなで我儘窯を築いた(ついた)のである。
我儘窯は信楽の穴窯スタイルでオーソドックスな、ロウソクの炎の形をした窯だ。温度は上げやすくて、焼きムラが少なくて、たくさんの人たちが一個ずつ作品を入れる小学校に適した窯と考えている。
我儘窯の運営について、常に心掛けていることはいくつかある。最も重要なのは、この穴窯は兄弟社村というビオトープ環境のなかにあって、そのビオトープの中で如何に動物・植物・人間・空気・水・土・火が響き合うかということだ。その響き合いにこそ穴窯の意味がある。(このアイデアの提言は河合嗣生氏に感謝。)
そのコンセプトに関連するが、もう一つは兄弟社村の一つのテーマの「リサイクル」である。作品を焼くための燃料はできる限り、わざわざ命のある木を切り倒すのではなく、伐採などですでに切られてしまった木を使うように努力している。ここ数年、水資源機構のご好意により、びわ湖の周りで伐採された松材を提供していただいている。びわ湖の周りでとれた燃料を、びわ湖のほとりにある窯で焼かれ、作品へと生まれ変わる。この過程こそリサイクルではないだろうか。ここであらためて水資源機構に感謝したいと思う。
ごく一般の「陶芸教室」や「○○体験学習」では絶対得られない、本物でしか勉強できないもの、そんなものが我儘窯にいっぱい潜められている。子どもたちが新しいものを発見したときの笑顔と目の輝きを道標にして、これからさらに進んでいきたいと思う。
-- ダレン ダモンテ (陶芸家)